2012年2月14日火曜日

関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明

​2012年2月13日

関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明

ストレステスト意見聴取会委員
​ 井野博満・後藤政志

原子力安全・保安院は、本日、関西電力大飯原発3・4号機の一次評価を「妥当」とする審査書を原子力安全委員会に提出しました。私たちは、このような拙速なやり方は、
とうてい認められません。
2月8日の第8回意見聴取会では、様々な技術的な課題が残されていることが明らかになりました。原子力安全・保安院も、その場で議論を終了するとは明言しませんでした。当然、継続審議となると思いました。審査書が原子力安全委員会に提出されたことに対して意見聴取会の委員として抗議します。
ストレステスト意見聴取会では、徹底して議論を尽くすことが、国民に対する原子力安全・保安院の責務です。次のような根本的な問題が残っています。

(1)判断基準について、保安院は「福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波が来襲しても同原子力発電所のような状況にならないことを技術的に確認する」としています。しかし、津波の想定は11.4メートルで、福島事故の14メートルよりも低くなっています。そもそも、福島事故は収束しておらず、原因もわからない状態です。

(2)評価の対象、基準の適用について以下の技術的な疑問があります。
① 制御棒の挿入性を検討の対象から外しています。
② 基礎ボルトなど機器の強度については、安全率を削って評価しています。 
③ 原子炉建屋などの構造強度に関わる許容値について、耐震バックチェックの基準より甘い許容値を適用することを認めています。
④ 本来の設備は福島原発事故前から改善せず、消防車や非常発電装置などの外部仮設設備だけで安全だとしています。

(3)ストレステストは、過酷事故対策の検証を含めた二次評価と合わせて評価しなければ、地域住民が安全性を判断する上では意味がありません。電力事業者は、原子力安全・保安院の指示により、これを2011年末を目処に提出するはずでしたが、関西電力は二次評価結果を未だに提出していません。

原子力安全・保安院が、現時点で「妥当」としたことは、はじめに再稼働ありきの見切り発車と言わざるを得ません。このような姿勢こそが、福島原発事故を招いた要因です。このように原子力安全・保安院は、規制当局としての役割を十分に果たしていません。まずすべきことは、自らのありようについて根本的な反省をすることです。
本日の審査書の提出は、「安全性に関する総合的評価」とされるストレステスト評価の体をなしていません。

以上


関連情報
経済産業省>報道発表>
関西電力株式会社大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(いわゆるストレステスト)一次評価に係る審査結果について
http://www.meti.go.jp/press/2011/02/20120213001/20120213001.html

発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に係る意見聴取会 議事要旨 配布資料 http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/29/800_29_index.html

1 件のコメント:

  1. 真実に目をつぶって原発推進する学者や企業がぬくぬくと肥え太り、ありのままを語ろうとする学者や技術者がどんどん減っていきます。マスコミもそうです。ありのままを伝えていた朝日ニュースターのスタッフが全員解雇。大企業の利益のためなら庶民の命と健康を犠牲にする、日本の官僚システムの恐ろしさ。私たち一般市民が、後藤さんのような心ある人を応援し、たくさんの技術者、科学者が立ち上がり、しぶとい官僚のシナリオを打ち砕くには、これからどうすればいいのでしょうか。本当にもう暴動を起こしたい気分です。

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